「千里の道も一歩から」ならぬ「大壷も一本」から
このなんとも美しい曲線美の大壷ですが、(自分で言うな)このくらいのサイズになると普通にろくろではもはや無理です。
紐作りといって小学校のときにもしかして最初の陶芸体験というか粘土遊びというかその時にやったのが恐らくこれだと思います。
しかし、この紐作りが熟練すると(自分で言うな)このような巨大な壷も可能になるのです。近道はなく、ただただ下の写真のように紐を作ってはのせて、あとは密着させるという言わば「大壷も一本から」なのです。
その際、注意点を一つ述べるとしますとこれは何日にもまたがって作っています。だいたい午前中に2、3本とそして午後からまた同じようにという具合です。それで私のようなせっかちな人間は特にそうですが、人情として結果を早く見たいあまりついやりすぎてしまい崩れてしまうという失敗です。
それでもう少しやりたい、もう一本という気持ちを抑え、もう少ししたいところで止めとくのがコツです。腰が柔らかいうちにどんどん積み上げてしまいますと加重がかかりグサッと崩れてしまうのです。
特別にもう一つ裏技を教えますと途中でやめますので硬くなりますが、あまり硬くなりすぎてしまうとその上に柔らかい土をのせても密着しにくくなるということになります。これを解消するために最初は固く絞った雑巾をふちに乗せたりしていましたが、これだと柔らかくてその後の仕事がはかどりません。そこで思いついたのが、ふちにサランラップを巻いておくという方法です。これだと水分が含んでいるわけではないので適度に固まり、また接着面はある程度柔らかさがキープしているのでその後の仕事がしやすいです。
加えて時々教室の生徒さんたちを見ているとやたら水でぬらしてしまいます。これは帰って紐の密着を妨げます。基本紐を積んでいくときは水は全く使いません。最終的な仕上げ段階や口作りのときに少々使うのみです。