屯田窯の陶芸家「清水裕幸」公式ブログ

北海道最大の登り窯「屯田窯」の日々と作品を紹介するブログ

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そもそも陶土とは

4 3月, 2017 (17:35) | 屯田窯の日常 | By: hiroyuki

そもそも陶土の多くは花崗岩が風化してできたものです。

花崗岩は火山から噴き出したマグマが地中でゆっくりと冷えて固まったもので、石材の御影石がこれに

あたります。

地殻変動の大きな圧力によって地表に露出した花崗岩は気温の変化や風雨によって自然風化し、

川や湖の流れによって堆積し、熟成されて粘土質へと変化するようです。

例えば、信楽、瀬戸、美濃地方の近くに「東海湖」と「古琵琶湖」があり、この古琵琶湖は現在の琵琶

湖三倍の大きさがあったようです。

これらの湖の流れ込んで堆積したものが現在陶土と呼ばれるものとなっています。

これらの地方に陶土が豊富なのはこのためです。

各産地は陶芸用の良質な粘土が取れることで発展しました。

粘土は産地によって特徴があり、その特徴を生かした焼き物が作られることになります。

日本の陶土の標準と言われているのが「信楽」の粘土です。

作りやすくて壊れにくい、また瀬戸や美濃地方でも良質な土が豊富に取れるため産業として発展を

遂げました。

砂気が多かったり、ぱさぱさした土しか採れないところでは、その土を活かした焼きものづくりが確立

しました。

流通が発達する以前、粘土は重たく運送が難しいため焼き物の産地は粘土が採れる土地かその付近で発

展しました。

しかし近年では、比較的容易に全国の粘土を手に入れることができます。

粘土の多くは天然の原料をもとに精製しているので、取り寄せる時期によって変化することがあり得ま

す。

これは採取する時期によって地層の条件が変化するためです。

大手のメーカーはできるだけ粘土の質が変化しないように調整をしています。

こうして人工的にブレンドされた粘土は安定供給できますが、産地色や原土の個性が失われていくこと

になります。

その点この新十津川産陶土はトラブル回避のために調整しブレンドしなければならないわけではなさそ

うですので、100%原土のまま使用できるかと思います。

ですから、その特徴や持ち味を表現しやすい物と言えるでしょう。

そもそもどうして北海道の中でもこの新十津川に窯を作ったのかと疑問に思うかもしれませんが、

こうした点を考えると理由が見えてくるのではないでしょうか。

推察するところ、当時の専門知識のある方がまず土を探し回り、そしてこの土を見出した。

そして、今回私がしているような収縮試験、可塑性、そして何より重要な耐火度試験などのデータを集

積しつつ、さらに埋蔵量も十分ということで築窯を決断したのだと思います。

そう考えると当時の専門的見地からも、さらに現在私が試験を重ねることでいわば時代を超えて二重の

確認作業をしていることになります。

そう意味において新十津川産陶土を使用し、陶器が焼かれるのは大変意味のあることであり、こうした

経緯を理解すると必然の成り行きという以外にありません。

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