屯田窯の陶芸家「清水裕幸」公式ブログ

北海道最大の登り窯「屯田窯」の日々と作品を紹介するブログ

Skip to: Content | Sidebar | Footer

わたしの好きな物

21 11月, 2013 (23:51) | 未分類 | By: hiroyuki

それは李朝時代の工芸品です。

ご存知ですか?
李氏朝鮮(李朝)

李氏朝鮮とは1392年に李成桂が朝鮮半島に建国した朝鮮最後の統一王朝です。

李朝の呼称は通称にすぎませんが、日本ではこの通称が定着して長く用いられています。
漢城(現:ソウル)を首都とし、政治理念を儒教において絶対的な社会性としました。

日清戦争(1894~1895)後の1897年に国号を「大韓」と改称しました。
日露戦争(1904~1905)後は日本の保護国となり、
1910年の韓国併合で滅亡しました。

1.李朝前期 15世紀~16世紀末
李朝前期の陶磁器は概して粉青沙器と白磁が主流を成しています。

粉青沙器とは灰青色の素地に白土で化粧掛けを施し、釉薬を掛けて焼成した物です。
象嵌、印花、掻き落とし、線刻、鉄絵、刷毛目、粉引等の種類が知られています。

象嵌と印花が高麗青磁の延長線上に先行し、
白化粧の装飾技法が取り入れられて粉青沙器の本領は発揮されました。

又、李朝前期は本格的な白磁生産への移行期でもあります。
乳白色の白磁は清浄を尊ぶ儒教精神と共に広く好まれ、宮中御器にも専ら用いられました。

15世紀から官窯としての役割を担い、燃料の薪を求めて広州郡内の移動を繰り返しました。

上質の白磁は宮中御器や中国に対する進献用として相応しい品格が要求されました。

15世紀からは中国陶磁の影響下に見事な筆致で格調高い染付が僅かながら焼成されました。
宮中から専門の画員が派遣されて彩画に当たった事も幾つかの文献に記載されているそうです。

16世紀末には豊臣秀吉の侵略(壬辰・丁酉の乱)で多数の陶工が日本軍に召致される等、
朝鮮半島の作陶は大きな打撃を受けました。

2.李朝中期 17世紀~18世紀前半
李朝陶磁史を区切る上で最も重要な変革は、
16世紀末の豊臣秀吉の侵略(壬辰・丁酉の乱)にあるといっても過言ではありません。

更に17世紀に入ると清軍の侵略(丁卯・丙子の乱)が続いて陶磁生産はほぼ停止します。
こうした戦乱の続いた期間(約40年間)は政治、経済、社会、文化等のあらゆる面が停滞し、
李朝陶磁においても大きな断層を生じた暗黒の時代でした。

李朝中期は白磁の生産に加え、鉄砂が盛んに焼成されました。
1720年代に官窯が金沙里に移設されると白磁や染付が中心に焼成されました。
特に染付はこの窯で本格的に生産が再開したと考えられており、
中でも余白を残しながら簡潔に草花文が表現された著名な秋草手は高く評価されています。

18世紀にはごく僅かではありますが、辰砂も焼成されました。
鮮やかな紅色を呈した発色は色絵の生まれなかった李朝陶磁で最も華やかな作品です。

3.李朝後期 18世紀後半~19世紀
1752年に李朝最後の官窯は金沙里から分院里に移設されました。
以後、1883年に分院里が官窯から民窯に移管されるまでを李朝後期と区分します。

李朝後期は中国からコバルト顔料の輸入が潤沢になった事で染付の生産が隆盛しました。
染付が増加する一方で鉄砂は目立って減少しますが、代わりに辰砂が用いられました。
分院里窯の初期には金沙里窯と区別の付かない位に優美な物もありますが、
時代が下がって国力が疲弊すると素地、成形、文様等は次第に俗悪化していきました。

官窯の固定による安定した制作環境は漢江という大水路に恵まれた結果でもありましたが、
同時に地元の資材調達だけでは需要に追い付けなくなった生産量の拡大を物語っています。
この頃の分院里窯は宮中御器の生産組織であったばかりではなく、
経済の発達に比例した旺盛な民間需要にも応えざるを得なくなっていました。

寧ろ、御器生産より一般顧客を対象にした需要の方が重要視されたともいわれています。
優れた技法で祭器や日用雑器に至る多種多様な器種を焼成しましたが、
中でも最も特徴を発揮しているのが水滴や筆筒を始めとした文房具です。

当時の文人達が競い合って買い求めた様子が文献や優れた違例の多さからも窺えます。
1883年には遂に分院里窯も民営化され、約500年に亘った栄光の歴史を閉じました。

こうした歴史を改めて考えると日本の陶器の歴史には日本が韓国の陶工を招致して指導させたことによるところが極めて大きいといえます。これら李朝の陶器を見たときデジャヴ?と言おうか不思議な感覚になります。

とりわけ私にとっては多大な影響を与えるものであり、目指すところでもあります。李朝の陶器の前には陶芸家ではなく、単なる一ファンの一人であり、ただただ身近に置きたいとの衝動を禁じえません。まさに敬服の至りです。(といって持っているわけではないのですが)

もしあなたが韓国ドラマで時代劇を見たことがあるなら、おそらく見かけていると思います。今度見るときはその辺も注意してご覧ください。

よろしければ、こちらにコメントをお寄せください