屯田窯の陶芸家「清水裕幸」公式ブログ

北海道最大の登り窯「屯田窯」の日々と作品を紹介するブログ

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昨日の続き

22 8月, 2014 (22:44) | 未分類 | By: hiroyuki

焼き物は必要な温度さえあがりゃいいんでしょ?と思ってる方は多いことと思います。

確かに温度が上がらなければ焼き物として完成しません。

しかし、これは窯焚きの第一条件に過ぎません。

燃焼には還元焼成(不完全燃焼で酸素の少ない状態)、またその逆の酸化焼成(酸素が多く、完全燃焼状態)、

さらにはその中間の中性炎があります。ですから、窯焚きの燃焼行程は非常に複雑でまたそれによってまったく

色調も変わってきます。

例えば織部という上薬をご存知でしょうか。しばしば見る緑色のそれですが、これは原料に酸化銅が入っている

ことで緑色を呈します。

しかし、これはあくまでも酸化焼成の場合です。この同じ釉薬を還元焼成しますと辰砂と

いわれる真っ赤になります。言わば真逆の色になるのです。

またこれほど極端でなくても、温度が同じであっても燃焼によって色調は明らかに違ってくるのです。

さらにその温度は微妙です。千何百度もの温度ですがわずか5度上がりすぎるだけで釉薬が流れて失敗に終る

ことも珍しくありません。

そんな失敗は数知れずしてきました。(苦笑)

また窯の中でも場所によって燃焼の雰囲気が違ってきます。いわゆる焼きムラってやつです。

ひどい場合には同じ器で線がついたように色変わりになることもあります。(それを珍重する人もいますが…)

この燃焼を操作するのも熟練が必要です。

口で言うほど簡単なものではありません。仮に同じ温度でもトップ温度までに所用した時間によっても

融け方が違ってきます。本当に微妙というか繊細なものです。

基本還元焼成は先にも取り上げましたように不完全燃焼でいわゆる燃料過多状態すから、燃焼効率は悪いのです。

この状態で温度を上げるには燃料が大変食います。

ですので、薪の窯でなく灯油やガスのバーナーで焚くとしても絶えず微妙な調整が必要になるのです。

まして薪の窯ですと温度を上げるだけでも大変ですから、この種の操作は至難です。

何度も言ってきましたが、昔から1、焚き 2、土 3、細工といい窯焚きが最も難しいという理由が少し理解いた

だけたでしょうか。

取り上げたのはあくまでも窯焚きだけの話です。

これに土の種類や釉薬との絡みが関わりますので、訳が分からなくなります。

こんな理由からたとえ同じ土、同じ釉薬を使ったとしても全く同じものなど焼けるなんてことは不可能に近いので

す。

じゃあ何でそんな難しいのするの?

って?

しかし、この不確実性や意外性が魅力であり、その奥深さが引き込まれる理由なのです。

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